近年の近現代東北アジア地域史研究の蓄積は、その<実態>の解明において、従来の一国史的枠組を越えた各国史の有機的関連性の視点、換言すれば、同地域に内在化された国際的・民族間的諸関連についてのより広範な視点からのアプローチを要請しつつあると言えよう。特に、ここ数年来、アジア・太平洋経済圏のサブ・システムとしての「環日本海経済圏構想」などが提起され、冷戦後の新たな東北アジア地域の国際的再認識が唱えられている時にあたり、日本における「植民地帝国の50年」期とは異なる学問的接近が必要となっている。こうした要請にも拘らず、同地域史研究者の間で一国史的枠組を越えた情報・意見交換の恒常的な<場>が設定されてこなかった。
この現状を念頭に置きつつ、1989年春から同地域史研究者がお互いの問題関心の所在や、諸史料についての情報・意見を交換するニューズレターの発行が企画・準備されることとなった。ニューズレターは、1990年3月に差し当たり「日本・中国近現代東北地域史研究会」の名称下、準備号が発行された。同準備号を約40名の研究者に送付したところ、約30名から継続発送を求める返事があった。研究者の間で上述のようなネットワーキングヘの要求は、予想以上に大きく醸成されつつあったと言えよう。これをうけて、ニューズレターは、1991年5月に創刊号が、同年12月には第2号が発刊されるに至った。
このニューズレターによる同地域研究者間の交流の促進とともに、研究者が直接会して研究成果の報告とそれに対する議論を通じて研究の一層の広がりと深まりを図る企画が進められた。この企画は、1991年12月16日、「中国近現代東北地域史研究会大会」の開催という形で実現することとなった(於:アジア経済研究所新館国際会議場)。
当日は、日本史、中国史、モンゴル史、朝鮮史等の同地域を研究対象とする研究者約50名の参加があり、各々の報告に対する活発な討論が行われた。その際、大会発起人より、中国史に限定しないで同地域を研究対象とする全国的な研究組織の創設が改めて提案され、同大会参加者の賛同を得て承認された。
大会終了後、創設準備が開始され、事務局及び、各領域別に各々若干名の世話人を置き、合議制による研究会運営を行うこととした。同時に、東北アジア研究の国際的ネットワーキングを基礎にした、新たな研究動向が生まれることを目指し、研究会名をより広範な研究者が参加し得るように「近現代東北アジア地域史研究会」とすることとし、1991年12月末に正式に発足するに至った。
代表幹事/所属 | |
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江夏 由樹 | 帝京大学 |
幹事(五十音順)/所属 | |
青木 雅浩 | 東京外国語大学 |
麻田 雅文 | 岩手大学 |
石川 亮太 | 立命館大学 |
井村 哲郎 | 国際日本文化研究センター |
上田 貴子 | 近畿大学 |
大野 太幹 | 外務省外交史料館:HP担当 |
小都 晶子 | 摂南大学 |
菅野 智博 | 慶応義塾大学 |
澁谷 由里 | 帝京大学:ニューズレター編集担当 |
島田 美和 | 慶応義塾大学 |
田嶋 信雄 | 成城大学 |
塚瀬 進 | 長野大学 |
中見 立夫 | 東京外国語大学名誉教授・公益財団法人東洋文庫研究員 |
樋口 秀実 | 國學院大学 |
広川 佐保 | 新潟大学:ニューズレター編集担当 |
古市 大輔 | 金沢大学:会計担当 |
松重 充浩 | 日本大学 |
松野 周治 | 立命館大学名誉教授 |
〒156-8550 東京都世田谷区桜上水3-25-40
日本大学文理学部史学科 松重充浩研究室気付
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